印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

最終更新日:2017年10月25日

サーモウッドの耐久性

欧州では、木材製品の耐久性を5段階のclass(クラス)であらわします

木材の耐久性は薬剤処理した木材でも塗装した木材でも無処理の木材でも5段階の耐久性区分で評価することができます(EN350-1)。具体的には耐久性を高い順にclass1からclass5で表し、class別の用途(使用する場所や環境)を説明しています(EN350-2)。
212℃で加熱処理されたサーモウッド(Thermo-D)の耐久性は辺材部(しらた)を含め上から2番目のclass2です。塗装をしますとclass1の耐久性となります。

外構木材(デッキ、フェンス、外装木材など)には、耐久性class2以上の木材製品を使用します。
海中や地中に埋め込む(または接する)木材には耐久性class1の木材製品を使用します。

欧州では木材の耐久性のclass表示(または使用)は一般的です
例えば、『弊社の薬剤処理した杭丸太はclass1の耐久性です』や
『弊社は耐久性claas1のサーモウッドを生産しています。ご興味有りませんか』、
『この商品の耐久性はclass3ですので、屋外で使用する時は塗装が必要です』など。
注目すべきは、class1やclass2の表示では試験機関名や認定書が併記されていることです。

日本語のウッドデッキ各サイトではデッキ材の耐久性を「極大、高耐性大、耐久性小、・・・」などと説明されていることがありますが、科学的根拠の説明は併記されていませんのでご注意ください。
デッキ材用途の木材であれば、屋外で使用可能な耐久性がありますので通常使用では耐久性の優劣は気にする必要はありません。
デッキ材は耐久性だけではなく、含水率や膨張収縮率(寸法安定性)、寸法精度などの重要選択肢があります。
そして一番大切なのは環境に優しい木材を使用することではないでしょうか

耐久性試験では木材試験片の重量減少率を測定

木材が腐るのは腐朽菌の仕業です。木材は腐れば腐るほど重量が軽くなります。
従いまして、木材の耐久性を調べる試験では、試験体である木材の試験後の重量が試験前の重量と比べどれだけ減少したのかを測定し試験体木材の耐久性の評価とします。
欧州規格の耐久性試験はEN113で行われ、試験結果である重量減少率(ウェイトロス率)をEN350-1で評価します。
耐久性は5段階のclassに分類(EN350-2)されます。

加熱処理木材の加熱温度と耐久性

木材の耐久性試験と試験結果耐久性試験と耐久性の5段階評価(EN350)

加熱処理木材の加熱温度と耐久性(重量減少率)の相関関係は上図のグラフとなります。(VTTの資料に加筆)
加熱処理時間も耐久性に影響しますが、加熱時間(加熱目的温度)の記載がありませんのでサーモウッド加熱処理工程と同等の約3時間加熱と仮定いたします。

針葉樹のサーモウッドには2種類の加熱処理温度があります。

Thermo-S:加熱処理温度190℃、膨張収縮率が低い、外構木材では無い。
Thermo-D:加熱処理温度212℃、膨張収縮率はThermo-Sより低い、外構木材用途。

加熱処理温度と耐久性についてもう少し説明いたします。

グラフをご覧ください。

  1. 加熱処理温度を220℃以上としますと、耐久性class1のサーモウッドが生産できます。
  2. 加熱処理温度が230℃では、ウェイトロス率が0%のサーモウッドが生産できることになりますが、あくまでも理論上の話です。
  3. サーモウッド誕生の初期(サーモウッド協会ができる前)の加熱処理温度は180℃、210℃、230℃の3種類の商品がありました。しかし、230℃加熱処理木材(T3と呼称、柱を地中に埋める屋外遊具用途)は生産を断念し、現在の2種類の加熱処理温度となりました。

木材の強度を簡単に説明しますと、木材の強度はセルロース(木材の強度をつかさどる)とリグニン(セ接着剤の役目)からなっています。リグニンは230℃から崩壊が始まりますのでサーモウッド230℃加熱処理は商品化が困難であったと思われます。

木材は腐るからエコロジーなのです

地球の環境を考慮しますとウェイトロス率0%(230℃加熱処理木材、腐らない木材)の木材は生産してはならないと思慮いたします。
耐久性の高い木材でも、いつかは土に返らなければ自然破壊を起こします。

木材の粉を樹脂(プラスティク)で固めた人工木材(樹脂木材)がウッドデッキにも使用され始めています。樹脂木材は廃材を使用しているためエコロジーな商品と説明していますが、廃材は土に返すべきです

2008年、耐久性class1のサーモウッドが弊社仕入れ先メーカーにて開発されました。樹種はASH(アッシュ)、2008年7月より弊宅にて暴露試験をしています。腐りはじめるまで10年、20年の時間が必要と思われます。

個人的にはサーモウッドの耐久性より寸法安定性を高く評価しております。耐久性を高めるには薬剤処理がありますが、人工的に寸法安定性を高める方法はサーモウッド処理の独壇場となります。しかも含水率は平衡含水率以下で生産されていますので、サーモウッドは木裏側に反る理想的な商品であることも素晴らしい属性です。