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最終更新日:2017年09月24日

サーモウッドの寸法安定性

デッキ材を選ぶときに、木材の寸法安定性を選択肢にしていますか。
寸法安定性の良い木材を使用しますと、施工後のねじれや反りそして割れなどの欠点が軽減できます。

サーモウッドは耐久性だけではなく、寸法安定性が非常に良い商品です。
木材は大気中の湿度(相対湿度)の変動により、湿度が高くなると木材は水分を吸って膨張します。湿度が下がれば、木材内部の水分を放出し木材は収縮します。
相対湿度の変動による木材の膨張収縮率が小さければ木材の寸法変動幅は小さくなり、このような木材を寸法安定性が良い木材と呼びます。

2001年からサーモウッドに関わる仕事をしていますが、サーモウッドの寸法安定性の良さには驚くばかりです。2001年生産のサーモウッド(当時の加熱処理温度は210℃)を屋外に放置し耐久性の暴露試験をしていますが曲がりやねじれが発生していません。

薬剤処理した木材を含め耐久性の高い木材は数多くありますが、耐久性に「寸法安定性」の条件を付加した木材となりますと及第点を取れる木材は多くありません。そして「環境に優しい木材」の条件を追加しますとサーモウッドが最高点を獲得できる木材となるのではないでしょうか。


サーモウッドの寸法安定性が良い理由

木材は大気中の水分(湿度)の変動により膨張(吸湿時)したり収縮(排湿時)したりしています。
この湿度の変動による木材のサイズの変動率を膨張収縮率と言いますが、膨張収縮率は樹種により異なります。
膨張収縮率が低い(小さい)樹種を寸法安定性が良い木材と言います。


サーモウッドの膨張収縮率は半減する(原材料木材対比)

サーモウッドと原材料(Whitewood=北欧のスプルース)の膨張収縮率を対比したグラフは下図となります。

木材の膨張収縮率のグラフでは次の2点が重要となります。

  1. 接線方向の膨張収縮率は半径方向の約2倍である:木材は丸太(円状)より製材しますが、丸太(円)の接線方向(板目、いため)と丸太の半径方向(柾目、まさめ)では膨張収縮率が2倍も異なります。木材が木表に反る原因はここにあります(サーモウッドは木裏に反ります)。
  2. サーモウッド処理後は接線方向と半径方向の膨張収縮率は約半減する:グラフの実線がサーモウッド未処理材、点線がサーモウッド処理材の膨張収縮率です。接線方向(青色)そして半径方向(茶色)もサーモウッド処理後は膨張収縮率が半減しています。

(VTT「加熱処理木材最終報告書」、finnforest「サーモウッドハンドブック」を参考に加筆作成)
尚、グラフのサーモウッドは220℃加熱処理ですので、212℃加熱(Thermo-D)では僅かに膨張収縮率が高くなります。

サーモウッドの膨張収縮率サーモウッド処理後のの膨張収縮率

注意:このグラフは「サーモウッドハンドブック」(フィンランドサーモウッド協会発行、08.04.2003=2003年4月8日)にも記載されていますが、同書の半径方向の膨脹率の図(page11-4、Figure8-4)は縦軸の数値が記載ミスされています。同ハンドブックの次回改訂版では正しい値に訂正されます。


給排湿機能の半減⇒膨張収縮率の半減

木材の吸湿排湿は主に非結晶セルロールとヘミセルロースが行います。加熱処理により人工的に数百年の木材に経年変化されたサーモウッドは非結晶セルロースとヘミセルロースが減少し給排湿機能は半減しています。

平衡含水率の半減

東京地区のパイン材やスプルース材の年間平衡含水率は8%から16%(あくまでも目安です)であり年間で8%変動します。これに対しサーモウッドの平衡含水率は、平衡含水率自体が低く4%から7%となり、平衡含水率の変動幅は半減(3%程度の変動幅)しています。

サーモウッドは含水率は4%から6%で生産されている

サーモウッド生産時の含水率は非常に低い4%から6%で生産されています。

一般的な乾燥材(人工乾燥材=KD材)の含水率は、平衡含水率より高い含水率で生産されています。このため、これら一般的な乾燥材は生産直後から平衡含水率になるまで製材品内の水分を大気中に放出しるため僅かですがサイズは収縮します。

  1. 北米産ツーバーフォー用木材は約20%
  2. 欧州製材品は約16%から18%
  3. 集成材原材料(ラミナー)は16%以下(14%前後)
  4. サーモウッドは含水率4%から6%で生産され、サーモウッドの平衡含水率とほど同等の含水率で生産されています。

以上より、サーモウッドは大気中の湿度変動の影響を受けにくい商品となっています。このため、他の木材より寸法安定性が高い(良い)商品となっています。生産時の含水率は平衡含水率より僅かに低いため大気中の湿度を吸湿し平衡状態となります。これがサーモウッドだけが木裏に側に反る要因となっています。

人工的に、しかもエコロジーな処理方法で、木材の寸法安定性を高め、木裏反りする性質はサーモウッドの最大の特長ではないでしょうか。