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最終更新日:2017年10月25日

木話04:日本の住宅を変えた欧州製材品、ホワイトウッドとレッドウッド
欧州は木材の先進国、日本は木材の先進国か?

北欧製材品、ホワイトウッドとレッドウッド

レッドパインやサーモパインは不自然な呼び方です。

サーモウッドの誕生とともに、木材関連業者では無い人がサーモウッド(木材)の説明をしています。
サーモウッドが多くの方に興味を持たれることは素晴らしいことですが、サーモウッドを含む北欧材にも興味や関心をお持ちいただければ幸甚です。
北欧材の種類は北米材よりはるかに少なく、針葉樹では2種類そして広葉樹では1,2種類しかありません。

北欧針葉樹は次の2種類しかありませんが、丸太と製材品では呼び名が変わります。
パイン(pine):製材品はレッドウッドと呼ばれます。日本の欧州赤松と同じ学術名(pinus silvestris)です。材質は「素直な木材」です。
スプルース(spruce):製材品はホワイトウッドと呼ばれます。学術名はpicea abiesで、日本のエゾ松に良く似た木材ですが、学術名は異なります。

北欧では、パインもスプルースも他の樹種と混在しませんので、単一樹種であるため製材後もパインやスプルースと呼称することが有ります。
中欧ではレッドウッドに黒松が混入しますが、製材後は黒松もレッドウッドと呼ばれます。

レッドパイン:日本人による造語と思われます。
サーモパイン:サーモウッドはフィンランドサーモウッド協会の登録商標です。このため同協会の非会員は「サーモウッド」の商品名は使用できません。よって「サーモパイン」や「テルモパイン」などが非会員を中心に使用されています。

ホワイトウッドとレッドウッドの各種対比

強度は同等:製材品の等級が同じであれば、ホワイトウッドもレッドウッドも強度は同じです。
用途(欧州での用途):ホワイトウッドは構造材に、レッドウッドは造作材や建具材に使用されます。しかし日本では構造用集成材の約7割がレッドウッドです。
平均価格はレッドウッドが高値:レッドウッドは造作材や建具材用の樹種のためレッドウッドの上級材(Aグレード)は高値で取引されます。レッドウッド中級材(Bグレード)はホワイトウッド上中級材(B&ベター)とほぼ同じ価格帯です。
製材品の平均長さはホワイトウッドが長い:レッドウッド(パイン)の伐採長さは上級材狙いであるため丸太の長さは乱尺となる。ホワイトウッドは製材や乾燥工程が有利な長尺材の伐採となる。
曲がり反りの欠点が少ないレッドウッド:レッドウッドは欧州赤松ですので曲がり反りねじれが少ない樹種です。中欧では黒松製材品(曲がり欠点が多い)もレッドウッドと呼称しますので北欧産のレッドウッドか中欧産のレッドウッドかには注意を払うべきです。
(DIYerの方には、無理な要求ですね。申し訳ありません。この欄を読まれる方は木材業界または住宅関連の方で記載内容は重要ですので削除せずに記載することにします。)

構造用集成材は日本でもホワイトウッドを推奨します。
日本でレッドウッドラミナ販売の仕掛け人は小職です。集成材のラミナ(挽き板)の樹種は何でも構いません。入手しやすく、目的の強度が出しやすく、経済性の良い樹種をラミナに採用するべきです。ホワイトウッドとレッドウッドではホワイトウッドが構造用集成材のラミナに適しています。(ホントです)

サーモウッドの樹種

サーモウッドはフィンランドサーモウッド協会の登録商標。このため、正規のサーモウッドはフィンランドの木材だけが使用されています。
具体的な樹種名は針葉樹ではレッドウッド、ホワイトウッド、広葉樹ではバーチ(白樺)とアスペンとなります。
アスペンは建築材としては不適当な樹種のためサーモウッド加工した内装材として使用されていますが、サーモウッド処理してもカビや変形が発生しやすい樹種のようです(あくまでも個人的な使用後の感想です)。

日本の住宅品質の向上は欧州材により実現しました

日本の住宅は量から質の時代へ、そしてストックの時代へ移行していきます

木材は十分乾燥した木材を使用します」と、住宅金融公庫融資基準仕様書に記載されていました。しかし、当時(約25年前)の日本では乾燥した木材は殆ど入手困難であり、公庫の融資基準の条件とすることはできませんでした。
当時の高気密高断熱住宅でも乾燥材は殆ど使用されていませんので、筑後1年もすれば中気密以下の住宅となっていたと思われます。

日本の住宅で乾燥材が使用され始めたのは1990年頃で欧州からの製材品が輸入されて初めて実現しました。特に乾燥が困難な梁などの大きな断面では、欧州からのラミナ(集成材用の乾燥材ひき板)や構造用集成材が使用されるようになり日本の住宅は「量から質」への第一歩を歩むことができました
木造住宅だけではなく、鉄骨系プラハブ住宅でも欧州乾燥材は住宅の品質向上に貢献しています。

日本はストック型住宅へ移行できるのか?
欧米先進国の住宅流通の中心は既存住宅です。既存住宅流通シェアは欧米では70%以上であり、日本では14%程度となります。日本では既存住宅を中古住宅と呼びますが、従来の質を無視した住宅、そして筑後30年もすれば価値が無くなる住宅では「中古住宅」と呼ばれても止むなしの感が有ります。
問題は、住宅の質を上げただけではストック型住宅とすることはできない事です。
法的な優遇措置でストック型住宅が実現するとも思えません。
住みたい街並み、住みたい家、リフォームできる家、資産価値が下がらない家など、既存住宅を憧れの家とすることが肝心です。

何故か、ストック型住宅には国産材を使用する方向で話が進んでいるようですが、未乾燥材中心の国産材、そして伐採材の70%が林地残材となっている国産材を旨く使いこなすことがストック型住宅の条件となれば、かなりハードルの高い話となります。
国産材の有効利用とストック型住宅は切り離して考えるべきではないでしょうか。

GDP世界2位3位の日本人が、豊かさを感じられない原因のひとつに「住宅の価値の減少」があります。頭金をため、住宅ローンを組み、ローンが完済すれば、住宅の価値がゼロとなるのが従来の日本の住宅です。
この先は、明るい展望が持てる住宅が必要です。

今できること、それはDIYでウッドデッキを作成し、家族で楽しむことです。
(やっと、明るい話に戻すことができました。)